やまさきファミリークリニック 院長ブログ

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アメリカ便り22 米国臨床留学 家庭医療@ピッツバーグ大学

アメリカ便り22:研修終了前のラストスパート

 

皆さん、こんにちは。ピッツバーグの山前です。

早いものでこの原稿を書いているのは4月の中旬です。が、ピッツバーグはまだ雪が降っています。
2週間前に春の陽気を超え、初夏の日差しがやってきた時には私の病院の前庭にある桜の木は満開になったのですが、数日でやってきた冬の再来のために、早々に花を散らしてしまいました。

さて、そんな中途半端な気候ではありますが、私たち3年目の研修医らは皆卒業後の進路が決まり、気分はもう晴れやかです。

ただし、アメリカの家庭医療の研修を終了するにはいくつかの基準があり、その基準をクリアするために皆ラストスパートをしています。その一つに3年間で診る外来患者さんの数があります。
私が日本にいた時、後期研修医として派遣されたある病院での外来では、午前中に30人の患者さんを診ていました。1時間に10人の割合で診ていたのです。時にはそれ以上の時もありました。おそらくこのエッセイを読まれている皆様も医師の診察は5分前後である事が多いのではないでしょうか。
アメリカでは1人の患者さんに研修医、開業医問わず、最低15分時間を割いています。私たち研修医はその時間内にカルテをタイプし、指導医にプレゼンテーションしなければならないのでかなり忙しくなり、結局平均すると1時間に2人から3人診るのがやっととなります。半日に10人も診るともうくたくたです。

そのような環境の中で、3年間の研修中に診なければならない患者数は1650人です。1年目はより指導に時間がかかり、外来数も少ないので年間約70人しか診ません。2年目は私の場合700人の患者さんを診ました。と言うことで3年目にはおよそ900人の患者さんを診ることになります。
前回の書いたとおり、一ヶ月間日本に滞在していましたので4月初旬の段階で私が卒業までに診なければならない患者数は310人でした。1ヶ月に103人、1週間に26人。半日の外来で多くて約8-9人診ていますが悪天候などでキャンセルが出る事もしばしばなので現在週に5コマの外来をしています。こうなるともう毎日クリニックに貼り付けになるので、研修をしていると言うよりも開業しているようです。

患者さん達もそろそろ主治医が去るのを知っていますので、別れを惜しんでくれる人も数多くいます。中には泣き出してしまう人もいました。
初めは英語も辿々しく、やっていけるか心配でしたが3年で患者さんとも信頼関係を築くことが出来、良くここまで来たと自分でも驚きです。ある郵便局員のアフリカ系患者さんは私が主治医になったことで日本に興味を持ち、2回も(!)日本を訪れ、毎年行きたいと言ってくださいました。

今後は患者さんとの別れ方の講義もありますし、私が担当しているすべての患者さんに対してグッバイレターを書きます。まだまだ最後まで忙しい研修生活ですが満足感と感謝で一杯でもあります。次回はピッツバーグから最後の便りになります。

山前浩一郎

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シェイディーサイド病院の桜

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