やまさきファミリークリニック 院長ブログ

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新たな持効型インスリンの話

皆さん、こんにちは。

今日は来年新たに発売されるインスリンの話です。

すでに見た方もいらっしゃるかもしれませんがこんなニュースが数日前に出ました。

薬食審・第一部会 インスリン製剤ランタスのバイオシミラー承認へ
https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/50711/Default.aspx

インスリンを使用されている方は一度はお聞きになったことがあると思いますが、ランタスという持効型のインスリンがあります。
ランタスは世界で最も売れているインスリンで、効果がおよそ1日弱継続する特徴があるために初めてインスリンを導入する方や、強化療法における基礎インスリンとして使用されています。サノフィ社の回し者ではないですが、ほんとうに良いインスリンです。

ですので、これはゴールデンスタンダードとも言えるランタスのバイオシミラーがイーライリリー社から来年発売になる見込みだというニュースなのですね。
ではバイオシミラーってなんでしょうか?

一般の飲み薬にはジェネリックという同じ成分の薬を、特許が切れた後にいろいろな製薬会社が発売していますね。これを読まれていらっしゃる方の中にもジェネリックのお薬を飲んでいる、もしくは飲んだことがある方がほとんどだと思います。
一般の飲み薬は化学合成で比較的簡単に作られるため、まるっきり同じものが他社でも製造できるのです。もちろん、その物質を飲みやすい形状に整えるのに使われる賦形剤と呼ばれるものは各社違いますが、主成分は完璧なコピーであるため、厚生労働省も承認に治験を要求していません。

一方、インスリンのようなバイオ製剤は簡単には製造できません。もともと生体内で合成されるこのようなホルモンは、製剤として製造するときも生物を使います。酵母や大腸菌にヒトインスリンの遺伝子を導入して作ってもらっているのです。こうなると、使用する生物の種類はもちろん、株による差、精製方法の差により、インスリン自体のアミノ酸配列は完全なコピーが可能であってもそれ以外の微小な”違い”が生じてしまいます。なのでバイオシミラー(バイオ製剤のそっくりさん)と呼ばれるのです。

もちろん、この微小な”違い”は臨床上差として認められるものであってはなりませんので、厚生労働省はバイオシミラーに対して治験を要求します。これは製薬会社にとっては大変なことですね。いわゆるジェネリック製薬会社がバイオシミラーに参入できないのは、技術的に困難であるということと、治験を行う資金的な余裕がないことが理由なのでしょう。

で、このリリーのランタスバイオシミラーです。部会承認を得られたということは、国がランタスと臨床上差はないと判断したということですので、現在ランタスを使用している方も安心して使えるということですね。
価格もおそらくランタスより低くなるでしょうから、毎月のインスリン代がバカにならない方には朗報ですよ。

発売されましたら当院でもぜひ処方していきたいと思います。

 

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