皆さんこんにちは。
今日から暫く以前書きためた米国臨床留学体験記を掲載していきます。
題してアメリカ便り。
タイトルは全然ひねっていないですが、内容を読んでいただけると家庭医療が少し理解できるのではないかと思います。
よろしくお付き合いください!
アメリカ便り1:アメリカで家庭医療研修開始!(2004年7月)
皆さんこんにちは。これまで約7年間にわたり、当病院で当直、外来等の業務をしてきた山前と言います。
今年の5月に一旦病院を離れ、7月より米国ペンシルベニア州にあるピッツバーグ大学医療センター、シェイディーサイド病院で家庭医療の研修を始めました。これから毎月皆さんにアメリカの医療に関する事柄を報告していきますのでよろしくお願いします。
今回は初回ですので家庭医療とは何かについて述べさせて頂きます。多くの方は主治医と言える医師がいると思います。血圧、血糖、腹痛、頭痛、不眠、めまいなど臓器にかかわらず主治医に相談するのではないでしょうか。
おそらく主治医は大抵のことなら問題を解決してくれるでしょう。しかし専門外のことは他の医師に診てもらうよう紹介状を書いてもらった経験をお持ちの方も多いと思います。というのも日本の医師のほとんどは医学部卒業後特定の臓器の専門医になるべくトレーニングを受けているからなのです。
自分の専門外のことは独学をしているのが現状でそれにも限界があります。私も主に糖尿病、ホルモンの病気を学んできました。しかし現実には当直中には小児の患者さんを沢山診ましたし、風邪をひいた妊婦さん、施設に入所しているご老人など専門外の患者さんを診る機会はいくらでもありました。そのような経験から、自分の目の前にいる患者さんならどのような訴えを持っていようと自分で的確に対処できるような医師になりたいと思うようになったのです。
残念ながら日本にはそのような“かかりつけ医”を養成する専門のトレーニングはほとんど存在しません。一方米国には臓器、年齢にかかわらず一つの家族を全て受け持つ専門科が30年前から存在しています。それが家庭医療です。
妊娠、出産はもちろん、小児、成人、老人すべての診察をする“かかりつけの専門医”が米国では活躍しているのです。昨年米国の医師国家試験に合格したため、皆さんの悩みを何でも聞ける主治医になるべく米国で家庭医療の研修を開始した次第です。
来月からは研修中に見たこと、感じたことなどを報告します。
山前浩一郎
同級生との記念写真