アメリカ便り6:恐怖の小児病院(2004年11月)
皆さんこんにちは。ピッツバーグの山前です。
今月はとうとう家庭医療レジデントから一番恐れられている小児病院のお話です。
ピッツバーグにはCHP(Childrens Hospital of Pittsburgh; ピッツバーグ小児病院)という全米でトップ10に入る有名な小児病院があります。私たちは幸運にもこの病院で小児科の研修を受けることが出来ます。ただし、問題があります。とにかく忙しいのです。
一日の始まりは患者さんの朝の回診から始まります。だいたい5時頃から自分の受け持ち患者さんの回診を開始し、カルテを書き始めます。6時にナイトチーム(夜間診察チーム)から自分の患者さんが昨夜問題なかったか申し送りを受けます。7時からお昼までぎっしりとスケジュールが組まれているので午前中は休む暇もありません。カルテは午前中に書き終えることが要求されているので結局朝早く来て書くしかないのです。
午後は各専門科のコンサルトの先生の指示を聞きまくり患者さんの治療や検査の計画を立てていき、その間新たな入院患者さんを受け持っていきます。生後3ヶ月以内の赤ちゃんが発熱した場合敗血症を除外するために全員入院しますが、血液から細菌が検出されなければ48時間で退院します。今の季節、そんな患者さんは非常に多いので自分の受け持ち患者さんもめまぐるしく回転していきます。ただし5時頃には当直へ申し送りが出来るので夜は早く帰宅できます。しかし朝が早いので自分の3才の息子を寝かせるはずが先に自分が寝てしまうこともしばしばでした。
平日はナイトチームがくるので当直も楽でしたが、週末の当直には本当に泣かされました。ナイトチームは金曜と土曜には来ないので一晩泊まることになります。当直医は自分のチームの患者さん全てのカルテ(だいたい15人から20人でした)を書かなければならず、その間入院患者さんは容赦なくやってきます。多くの研修医は午前0時を過ぎた瞬間から患者さんのカルテを書いて朝の申し送りに間に合わせます。1ヶ月の研修で週末の当直は3回ありましたが、一睡も出来ませんでした。
この研修が終わり自分の病院に戻ると皆無事乗り切ったことを讃えてくれます。大変でしたが小児科の醍醐味を十分味わうことが出来ました。
さて、もうピッツバーグは銀世界です。次回はアメリカのホリデーについて少し書いてみようと思います。
山前浩一郎
ピッツバーグ小児病院。現在は新しいビルディングになりました。