アメリカだより9:ALSOトレーニング(2005年3月)
皆さん、こんにちは。ピッツバーグの山前です。
忙しかったICUの次は又入院チームでした。今回はその間に行われたALSO(妊婦の救命処置)の講習会についてお話しします。
私たち家庭医はACLS(心肺救命処置)、NALS(新生児救命処置)、PALS(小児救命処置)とこのALSOの認定を受ける必要があります。ACLSとNALSはすでに取得していましたが、丁度私の病院でALSOの講習会が開かれましたので3日間に渡り参加してきました。
たとえ入院チームに所属していてもその講習会に参加することは奨励され、私の不在時には先輩が代わりに私の患者さん達をフォローしてくれるところがアメリカらしいところです。なんと入院チームにいた3人のインターン全員が参加したのです!こんな事は日本では考えられません。
さて、ALSOの講習会そのものは素晴らしいものでした。妊婦さんに起こりうる合併症全てに対する対処、ノンストレス試験の読み方、超音波検査の方法、吸引分娩、鉗子分娩、肩甲難産の対処法など講義、ディスカッションと実技を交えて勉強していきます。
最終日にはメガコードと呼ばれる実技試験があります。受講生一人一人が試験場に入り、妊婦の人形を使ってあらかじめ決められたストーリーに従って無事赤ちゃんを取り出し、母親の病態にも対処するというものです。
まずは、分娩が長引いている妊婦さんに対して吸引分娩を行いましたが、肩甲難産のため様々な方法を用いてやっと分娩に成功したと思いきや、今度は母親から出血が止まらない、と言った内容でした。どれもこれもそれほど頻度は高くないですが、実際に遭遇するものばかりで、そろそろ産婦人科を忘れかけていた私にとって大変為になりました。実技の後はペーパーテストで基本的な事柄を問われます。何とか両方のテストに合格したためALSOの資格を得ることが出来ました。5月にはPALSを受講してきます。
そろそろ一年目の研修医も研修生活に慣れ、来年の新研修医も決まりました。2人の日本人が面接に来ていましたが、残念ながら私の病院には来ないようです。ただ、同僚の研修医の奥さんが来年から研修することになったので同級生皆で喜んでいます。それでは又来月お話ししましょう。
山前浩一郎
ピッツバーグのへんてこな信号機