皆さんこんにちは。この頃から月一回の連載が崩れ出します…。
一気に2006年1月へ飛びんでしまいます。
アメリカだより15:指導医の採点 (2006年1月)
皆さん、こんにちは。ピッツバーグの山前です。
ちょっと遅くなりましたが明けましておめでとうございます。今年も皆さんと、みなさんのご家族が健康でありますよう祈っています。
アメリカではクリスマス休暇が1年で一番大切なホリデーで、新年は大して祝いません。日本人としてはお正月が一番大切ですので何か拍子抜けな感じです。
さて、今回はちょっと特殊な話です。つい先日私たち研修医全員で指導医の評価をしました。
指導医といっても2種類あります。一つはもちろん研修プログラムのスタッフ。皆ピッツバーグ大学の教員です。もう一つはプライベートアテンディングと言って、基本的には開業医の先生方で、大学病院に患者を入院できる代わりに私たち研修医の教育も義務づけられている先生達です。
毎年スタッフの評価は研修医もしているのですが、今回はプライベートアテンディングの評価を行いました。
目的としては、余り教育的でない先生達の患者さんをもう研修医が診療しないようにしようというものです。アテンディングにしてみれば教育しなくても良い代わりに、患者のケアを全て自分たちでしなければならないことになります。研修医といえども立派な戦力なのでこの差はかなり大きいはずです。
渡米する前はアメリカの医師は皆素晴らしく、教え好きな人ばかりと言った幻想を抱いていました。実際は理想とは多少違いました。
確かにほとんどの指導医は物知りで、研修医を大事にし、教育的です。中には聖人の様に献身的に患者さんを診療している医師もいます。しかもそういった医師は一人や二人ではありません。こんな医師に将来なれればいいなという目標になりうる人はごろごろいます。
しかし少数ではありますが、一緒に働きたくもない医師もいるのは残念ですが事実です。S先生は、電話口で一言も発しません。彼の患者さんを入院させたので、治療方針を話し合うために電話をしたのですが、何もしゃべらないのです。初めは自分のせいかと思いました。しかし誰に聞いてもそうらしいのです。おそらく彼の評価は最低でしょう。
研修医は評価され続けていますが、同時に上司を評価する。懐の広いアメリカ的な慣習だと感心しているところです。
それでは又次回お話ししましょう。
山前浩一郎